「確率論的思考」の感想

本の紹介

確率論的思考 ペーパーバック – 2009/9/20

 金融市場のプロが教える、株式投資で勝つための哲学「確率論的思考」を読んだ感想と考えを皆さんにシェアしたいと思います。

本書を読んで学べること

  • 何故多くの個人投資家が負けるのか
  • 心理的バイアスが正しい判断を妨げていること。
  • 株式投資で利益を上げるための心構え

 本書は株式投資で利益を上げるために、正しい行動を積み重ねる重要性を様々な角度から述べています。正しい行動を妨げる最大の敵=心理的バイアスについて、本書で取り上げられていたものから私が興味を持ったものをいくつかピックアップして、バイアスとの向き合い方、マーケットから利益を上げる方法について述べていこうと思います。

判断を鈍らす様々な心理的バイアス

 本書で取り上げられていた様々なバイアスから、3つに絞って説明します。

自己関与の幻想

 1つ目は「自己関与の幻想」です。これは自分が関与することで確率が変わるように感じるバイアスです。宝くじが一番わかりやすい例でしょう。宝くじを購入する際、他人に買わせるのではなく自分で購入するでしょう。これは自分が関与することで確率が上がると、無意識のうちに考えているからです。また1等が出る確率は数千万分の一にも関わらず、自分が購入すると当たるのでは?と過剰な期待をすることも自己関与の幻想が影響しています。

 株式投資の世界でも、このバイアスはマイナスの効果を発揮します。日本には4000社以上の上場企業があり、そのうち投資する企業は10社.20社ほどでしょう。(私の場合は1.2社に集中投資をしています。)自分が選んだ数社は4000社のうちの数社であるにも関わらず、特別な企業だと思い株価が上がることを信じて疑わない。このような経験は皆さんもあるのではないでしょうか。私はこのバイアスで痛い思いをしたことが数えきれないほどあります( ´∀` ) また自分が知っている企業や、詳しい企業の方が、株価が上がると思うのもこのバイアスによる影響です。

自己正当化バイアス

 人は自分がした間違いを認めたくありません。だから自分がした選択が正しかったと思えるように、選択をする前に見積もっていた確率を無意識レベルで修正するのです。これが「自己正当化バイアス」と呼ばれる現象です。例えば株を購入するまでは、様々な企業を客観的に分析できます。しかしいざ購入すると、自分の買った企業に肩入れしてしまうのです。自分の下した選択が正しいと増強する情報ばかりを受け入れ、自分の選択が間違っていたことを表す情報は無意識に目を背けてしまうのです。このバイアスは株式投資をするうえで非常にマイナスの影響を与えるバイアスです。

 私もこのバイアスで痛い思いをしたことがあります。ある株を購入して、その後の決算では減益を繰り返し、見るからに希望のない決算を出し続けていました。しかしヤフー掲示板やTwitterで自分の信じたい意見ばかりを見ることで、自分が下した決断の失敗を認めることから逃げ続けたのです。株式投資の世界だと損切しなかった結果、たまたま株が上がって利益になることはあります。しかしそれは結果論です。本書の推奨する確率論とは真逆の考え方です。正しい判断を積み重ねることが、長期的に見た成功へとつながるのです。(ちなみにこの取引は最後の最後で損切りして特大の損失を計上しました。結果論で見ても確率論で見ても大負けです( ´∀` ))

ギャンブラーの誤謬

 最後は「ギャンブラーの誤謬」です。有名な心理的バイアスなので聞いたことがある人も多いかもしれません。50%の確率で表と裏が出るコインを投げたとき、表が続くと人は裏が出る確率を少しずつ高く見積もるようになるバイアスです。ただ実際は表も裏も50%の確率です。

 これは株式投資の世界でいえば、株価が連続して上がると次は下がるように感じて、連続して下がると次は上がるように感じる現象です。いわゆる逆張りです。しかし明確の根拠があればいいですが、何となく逆張りするようでは長期的に安定して勝てるとは思いません。とは言え、私もこのような失敗の経験は何回もあります。(今回紹介したバイアス全てに引っかかっていました🤣)

 マーケットから利益を上げるには

 先ほど紹介したように、マーケットの世界は様々なバイアスにより損を被る可能性が高いです。ではどうすればマーケットから利益を上げられるでしょうか?

 株式投資で利益を上げるには認知バイアスによる確率の誤謬を避け、利益が上がる確率が高い取引だけを積み重ねていくことが、唯一の手段であると本書で述べられています。まずは様々なバイアスを知ることが対策に繋がります。「今、自己正当化バイアスにかかっているな」とか「これはギャンブラーの誤謬による判断じゃないかな」とか、バイアスを知ることで現状を理解して、正しい判断に戻って来られる確率が高まります。そして本書でお勧めされているのが、バイアスによる判断を避けるため、統計的データや数字をもとに判断することです。主観的ではなく客観的に考えることがマーケットから利益を上げるために不可欠なのです。また異なる見方を拒否せずに、むしろ積極的に受け入れることも重要です。マーケットで利益を上げるには確率や期待値が高い取引だけを積み重ねていくこと、これが一番大事なことなのです。

まとめ

 まず様々な心理的バイアスを知り、そのバイアスを避けて適切な判断のもと投資を行い積み重ねていく。これが株式投資で成功するために必要なことです。口で言うのは簡単ですが、実際に行うのは難しいことかもしれません。しかし何度でも何度でも正しい思考回路に戻ってくることで、マーケットから利益を上げられる精神状態・心理状態に近づくのだと思います。私は短期的な成功を追い求めて資金を溶かしたり、恐怖による売買で論理性が全くない行動をとったり様々な失敗をしました。しかしそのような失敗は、本書で紹介された心理的バイアスにほとんど当てはまっており、具体的な対策を練られるようになりました。このブログではごく一例を紹介したのですが、まだまだ面白いバイアスや考え方がたくさん学べる本となっております。是非一度手に取ってみてはいかがでしょうか。

確率論的思考 ペーパーバック – 2009/9/20

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