1秒で答えをつくる力 お笑い芸人が学ぶ「切り返し」のプロになる48の技術 単行本(ソフトカバー) – 2022/12/14
ナインティナイン、中川家、かまいたちなど、30年間で1万人のお笑い芸人を育てた伝説のお笑い講師、本田正識。NSCの超人気授業がこの1冊に凝縮されています。振られた話題に的確に答える能力。これはお笑いの世界だけでなくビジネスや日常の世界でも重要な能力です。そして自分に与えられている持ち時間はとても短いです。上手く話せなくてつらい思いをしたり、チャンスを逃したりしたことがあり人は多いでしょう。しかし大丈夫です。筆者は頭の回転は後天的に身につくと断言しています。普段の意識や行動で頭の回転は高まるのです。どのようにして人気なお笑い芸人は話術を磨いたのか、的確に短い時間で答える能力を身に着けたのか、お笑いの世界の最前線で指導してきた伝説の講師から学んでいきましょう!
1秒で答えをつくるために必要な能力は2つあります。それは「正確性」と「速さ」です。この2つに絞って本書の内容と私の考えをシェアしたいと思います。見出しは私の考えを交えた上で記載しているので、本書のタイトルとは異なります。では早速内容を見ていきましょう!
論理的な答えを作るために必要な「正確性」
正確性とは与えられた質問に対して、論理的に答えられている状態を指します。正確性を身に着けるには幅広い知識と深い思考力が必要です。1つの事象に対して深くまで考察して自分だけの答えを手に入れること、これが深い思考力です。そしてその答えを増やしてくこと、これが幅広い知識を手に入れた状態です。この2つについて解説していきます。
幅広い知識を得るために
お笑い芸人を見ていて引き出しの多さ、知識の多さに驚いたことはありませんか?彼らは元々知識が多かったわけではなく、日々の努力によって知識を増やしていったのです。幅広い知識を得るために、お笑い芸人が取り組んでいる事を3つ紹介しています。
①「興味がない」ものから思考のタネを見つける
②語彙力を増やす
③経験の言語化
では1つずつ見ていきましょう!
「興味がない」ものから思考のタネを見つける
多くの人が興味のある物事にしか触れず、興味外のものに手を触れることはないでしょう。しかし興味のないジャンルにこそ「思考のタネ」が眠っているのです。普段関わりのないジャンルにこそ、新たな気づきや発見があります。
筆者が「興味のない」ものから思考のタネを見つける実践トレーニングとして、「興味がないジャンルのニュースに目をお通すこと」を挙げています。しかし、ついつい人は興味のある方に目がいってしまします。そこで筆者が提案しているのが興味の持った「前後のニュース」を見ることです。そうすることで勝手に興味外のことに触れる時間が出来上がります。興味外のニュースを読むことを苦痛に感じる人もいるかもしれません。しかし興味がないというのは、ただ関心を持たなかっただけの可能性が高くて、一度触れてみたら実は面白かったりすることは十分にあり得ます。勉強という意味合いだけでなく、自分の趣味を広げるためにも興味のないものにも取り組んでみてください!
語彙力を増やす
テレビで見る、売れているお笑い芸人は相当な語彙力を持っています。知っている言葉の数が多いほど、その場に適した表現を用いることができるようになります。ビジネスや日常の世界でも、状況に応じて適した言葉を用いる人は周囲から好感を持たれやすいでしょう。
筆者が「語彙力を増やす」ための実践トレーニングとして予測変換機能の活用を挙げています。予測変換機能は上位に自分が用いる言葉が表示されます。逆に言えば下位に表示されている言葉は普段用いない言葉です。下位に表示されている言葉を見て、わからない言葉があれば調べる。これで語彙力を増やすことができるということです。南海キャンディーズの山里さんはが売れる前からずっと続けていることがあります。それは「わからない言葉や知らないことがあったらすぐに調べること」です。その結果、今ではテレビで見ない日がないほどの売れっ子になったのです。分からない言葉はほっとかないですぐに調べて、有効に活用できるようにしましょう!
経験の言語化
面白い芸人さんって、引き出しの量が半端ないですよね!特に自分の経験をもとに話すエピソードがとても面白いです。ただ誰にでも経験は存在するのに、売れている芸人さんみたいに面白く話すのって難しいですよね。その違いは経験をただの思い出としてストックしているか、自分の引き出しとしていつでも取り出せるようにしているかの違いと述べられています。要するに面白おかしくエピソードを話す芸人さんは経験したことをアウトプットして、いつでも話せる状態ができているのです。
筆者が「経験の言語化」のための実践トレーニングとして経験したことを端的にまとめることを挙げています。自分の感想だけでなく、相手が知りたい情報も盛り込むことで興味深い話ができる人になります。これを続けていくと、豊富な引出しを手に入れることができるので是非一度試してください。
ここまでは「幅広い知識をつける」ための重要性について説明してきました。しかしその知識を深めていくこともとても大切です。次は「深い思考力」を手に入れるための方法を解説していきたいと思います。
深い思考力を手に入れるために
深い思考力を手に入れるには1つの事象を深ぼっていき、自分だけの答えを手に入れることが必要となります。本書では3つ、有効なトレーニング法が紹介されています。
①ニュースに対して自分の意見を持つ
②自分の好き嫌いの理由を深ぼる
③話題になっている事象の理由を考える
1つずつ見ていきましょう!
ニュースに対して自分の意見を持つ
ニュースに対して、反対か賛成か、どちらでもないのかのをスタンスを決めましょう。そしてその理由、なぜそう思うのかを深ぼっていき、自分だけの答えを手に入れましょう。これを繰り返すことで思考力はどんどん上がっていきます。
自分の好き嫌いの理由を深ぼる
誰でも好きなものや苦手なものがあるでしょう。何となく好き、何となく苦手で済ませていては勿体ないです。その理由を深ぼることで自分の興味や思考パターンがわかっていきます。そして一貫した意見を持てるようになります。なぜ?を繰り返して理由を深ぼっていきましょう!
話題になっている事象の理由を考える
世の中で流行っているものの理由を考えてみましょう。なぜ流行っているのか、もしかしたら答えがないかもしれません。しかし、だからこそ思考力を深めることができます。思考力って正しいかどうかよりも利論理的なステップを辿っているかが重要です。考えを披露するときも、論理的ステップを辿っていれば聞くものを魅了することは可能です。
この3つに共通していることは、ただ漠然と情報を受け取るのではなく自分の考えを持つということです。世の中で起きていることや身の回りで起きていることを、受動的に受け取るのではなく能動的に考えることは、思考力を高める上で非常に重要なことです。
1秒で答えを作る
ここまでは正確性を身に着けるために「幅広い知識」と「深い思考力」について解説しました。しかし正確性を身に着けても、その考えを披露するときは一瞬で答えを作らなければいけない状況が多いです。バラエティーなども司会者から話題を振られて、秒で答えを作らなければいけないですよね。本当に1秒で答えを作らなければいけないのです。ただこれはバラエティーに限ったことではありません。会議で意見を求められたとき、感想を求められたとき、普段の会話でも回答するまでに与えられている時間って、実はかなり短いですよね。だから正確性だけでなく「速さ」もとても大事なのです。限られた時間で自分の考えを伝える必要があるのです。1秒で答えを作るために2つの方法が綴られています。
①結論から逆算して話す
②不要な言葉は全カット
では解説していきます。
結論から逆算して話す
意見を求められる場面で一番最悪な結果が、「何が言いたいか分からない」ことです。その最悪な状況を避けるために結論から話しましょう。
本書では結論から話す実践トレーニングとして、「結論1つ、短文3つ、装飾品3つの法則」を挙げています。1つの結論に対して、話の軸となる短文を3つ用意して、オリジナル情報となる装飾品を3つ加えて話すとわかりやすくなるという法則です。例を挙げて説明します。
結論:「大学教授の話」
短文3つ:「大学の授業が5分早く終わった」、「教授が話し始めた」、「授業が5分伸びた」
装飾品3つ:「無駄話が多い教授」、「生徒が帰る支度をし始めた」、「話に熱が入った」
このような形にします。この話をまとめると、次のようになります。
大学教授の話がある。大学の授業が5分早く終わり生徒が帰る支度をし始めたら、「5分早く終わったから少し無駄話を」と教授が話し始めた。話に熱が入って結果5分授業が延びた。
いかがでしょうか。シンプルで話が伝わりやすくなると思います。是非試してください。
不要な言葉は全カット
話すときは1文字でも短い方が相手によく伝わります。端的に話すには、相手にとっておいしい情報だけを取り出すことです。漫才をみれば不要な言葉は1文字もなく、一見不要に見える言葉もその後のフリとして成り立っていることがわかります。
不要な言葉を減らすトレーニングとして、なくても意味が通じる内容・言葉を削ることが挙げられています。重要な順番に並べ替えて、上から3番目まで絞り4番目以降は全カットすると述べられています。言葉に関しても芸人さんは1文字でも短く伝えられるように意識しているのです。「すべらない話」で幾度となく大爆笑を引き起こしている兵頭さんも、全て文字に起こして1文字でも削る作業をしているのです。そうしてあの大爆笑が生まれているのです。それほど不要なものをカットすることは重要なことなのです。
まとめ
「1秒で答えをつくる」には正確性と速さの2つが必要です。速いだけでも正確なだけでもダメなのです。瞬時に作った答えが全く方向性とずれていては意味がありません。適切な答えを作るためには、日々思考力を深めたり、幅広い知識をつける必要があるのです。今回紹介した内容はごく一例で、本書では考え方や細かいテクニックや練習方法が書かれています。皆さんも是非一読してみてはいかがでしょうか。
1秒で答えをつくる力 お笑い芸人が学ぶ「切り返し」のプロになる48の技術 単行本(ソフトカバー) – 2022/12/14